業務効率化

エクセルとRPAを活用した中小物流会社の業務効率化〜運送会社DX編〜

中小物流会社(今回は運送会社)のDXを通じた業務効率化について、エクセル・VBAを使って解説します
SOLVERS LAB
こんな人におすすめ
  • 中小物流会社の経営者やマネージャーで、業務の効率化とコスト削減を図りたい方
  • エクセルやRPAを活用して、手作業の自動化を進めたいと考えている方
  • 労働力不足の課題に直面しており、限られたリソースで最大の効果を上げたい方
社長
社長

日々の運送業務をこなすことに一杯一杯で業務の効率化が追いつきません

ソルバくん
ソルバくん

解決すべき本質的な課題に目を向けつつも、コスト・ユーザーへの定着を意識しながら早急に課題解決に向け動き出しましょう。

はじめに

中小物流会社は、2024年問題と呼ばれる労働時間規制の強化による労働力不足の影響を受けています。この背景により、DXを通じた業務効率化の必要性が高まっています。一方で、予算や現場への浸透が足枷となり上手くDX化が進められていない声が挙がっています。本記事では、物流業界の中でも特に運送会社を対象に、その特有の課題と解決策について説明します。

物流会社の業態

物流会社には様々な業態がありますが、今回は運送会社を対象としています。以下に物流会社の主な業態を示します:

  • 運送会社:物品の輸送を行う会社。トラック運送が主流
  • 倉庫業者:物品の保管と管理を行う会社
  • 配送業者:最終的な顧客への配送を専門に行う会社
  • 貨物取扱業者:輸送手段の手配や管理を行う会社

運送会社の業務全体感

運送会社が抱える主な業務は以下の通りです:

  • 受注管理:顧客からの注文を受け付ける
  • 運行管理:車両の手配や運行スケジュールの管理
  • 配送管理:商品の配送と配送状況の追跡
  • 請求管理:請求書の発行と顧客からの入金管理
  • 在庫管理:商品や部品の在庫状況の把握と管理

運行管理の課題

今回は、これらの中でも特に運行管理にフォーカスします。運行管理における主な課題は以下の通りです:

  • 問い合わせチャネルの煩雑さ:顧客からの問い合わせが電話、メール、FAXなど多様で対応に時間がかかる
  • データ連携の欠如:受注から配送、請求までの各業務が連携しておらず、データの散在が発生

これらの課題は表面的なものであり、真に解決すべき課題を見出すためには、現状業務の詳細なヒアリングが必要です。

課題解決の方向性

以下の表に、ITツール、エクセル、RPAのメリットとデメリットを示します:

ツールメリットデメリット
ITツール高度な機能、全体的なデジタル化が可能高コスト、専門知識とトレーニングが必要
エクセル低コスト、既存のシステムで利用可能高度な自動化には限界がある
RPA繰り返し作業の自動化が容易、低コスト初期設定とメンテナンスに一定の知識が必要

今回はコスト面とユーザー教育の簡便さから、エクセルとRPAの組み合わせを推奨します。既存のエクセルを活用することで低コストでの導入が可能であり、RPAを用いることで繰り返し作業の自動化が容易に実現できます。この組み合わせにより、運送会社の現場での実装が迅速かつ効果的に行えます。

エクセルとRPAの具体的な施策

エクセルを活用した統合管理

  • 問い合わせ管理:エクセルで顧客情報と問い合わせ内容を一元管理し、迅速な対応が可能。問い合わせ履歴の追跡も容易です。エクセルVBAを活用し、問い合わせの記録とフォローアップの自動化を実現します。
  • 受注管理:エクセルで受注情報を集約し、リアルタイムでの更新を実施。受注から配送までのプロセスを一元化し、業務の見える化を実現。受注ミスを減少させる効果があります。パワークエリを利用して、外部データソースからの情報を自動的に取り込むことができます。
  • データ分析:エクセルの関数やピボットテーブルを利用してデータの分析を行い、経営判断に活用。売上分析や顧客動向の把握が可能です。パワークエリを使うことで、複雑なデータ変換や集計を簡単に行うことができます。

RPAによる自動化

  • 請求書発行の自動化:RPAを利用して、定型業務である請求書発行を自動化し、人的ミスを削減。正確な請求書発行が迅速に行えます。RPAツール(例:UiPath, Automation Anywhere)を使用して、エクセルから請求書を生成し、メールで送信するプロセスを自動化します。
  • 運行記録の自動入力:運行記録の入力作業をRPAで自動化し、時間を短縮。運行データの正確な記録が確保されます。運行管理システムと連携し、運行データの入力と分析を自動化します。
  • トレーニング:移行期間中のトレーニングを実施し、業務の定着化を図る。従業員のスキル向上も促進します。具体的なトレーニングプログラムを提供し、新システムの操作方法を徹底的に教育します。

合わせて実施すべき施策

エクセルとRPAの導入と併せて、以下の施策も実施することを推奨します:

  • 従業員の教育:新しいシステムやプロセスに慣れるためのトレーニングを実施。教育プログラムの整備が重要です。定期的なワークショップやトレーニングセッションを開催します。
  • マニュアル作成:業務フローやシステムの使い方を明確に記したマニュアルを作成し、全員が参照できるようにする。マニュアルの定期的な見直しも必要です。オンラインマニュアルや動画チュートリアルを提供します。
  • 業務プロセスの見直し:現行の業務プロセスを見直し、効率化のための改善点を洗い出す。継続的な改善が求められます。業務フローの可視化と最適化を行います。
  • 定期的な見直しと改善:業務効率化の施策を定期的に見直し、必要に応じて改善策を講じる。PDCAサイクルを取り入れると効果的です。定期的な評価とフィードバックを行い、改善点を反映させます。

これらの施策は、会社の文化や利用可能なリソースに合わせて柔軟にスケジュールを組み立てることが重要です。

結論

中小物流会社が業務効率化を図るためには、エクセルとRPAの活用が非常に有効です。この組み合わせにより、顕在化した課題の解決だけでなく、業務全体の効率化が実現できます。業務効率化により生じた余剰時間を新規事業の企画・開発や顧客満足度向上のための施策に活用することで、会社の成長を促進できます。例えば、業務効率化によって得られた時間とリソースを使って、新たな物流サービスの提供や、既存サービスの品質向上を図ることができます。これにより、顧客満足度を高め、競争力を強化し、持続的な成長を実現します。

SOLVERS LABの支援内容

SOLVERS LABでは、中小物流会社がエクセルとRPAを活用して業務効率化を図るための支援を行っています。具体的な支援内容は以下の通りです:

  • 現状業務のヒアリングと課題の洗い出し:現状の業務プロセスを詳細にヒアリングし、真に解決すべき課題を洗い出します。
  • カスタマイズされたエクセルとRPAの導入支援:貴社の業務に最適化されたエクセルVBAの開発とRPAの導入を支援します。
  • 従業員の教育とトレーニング:新しいシステムの操作方法や業務プロセスに関するトレーニングを実施し、スムーズな移行をサポートします。
  • マニュアル作成と運用サポート:業務フローやシステムの使い方を明確に記したマニュアルを作成し、運用開始後も継続的なサポートを提供します。
  • 定期的な見直しと改善提案:導入後も定期的に業務プロセスを見直し、さらなる効率化のための改善提案を行います。
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